NPO法人

 平和と手仕事 多津衛民芸館

長野県佐久市望月2030-4 tel: 0267-53-0234

開館期間:3月~12月中旬  

開館日:金曜日~月曜日の4日間 他イベント等により随時開館することもあります。

多津衛民芸館の歴史


 

    蓼科山・美ヶ原・北アルプスの山なみを望む信州御牧ヶ原台地に、1995年夏、多津衛民芸館は建てられました。

    初代館長小林多津衛(1896~2001)は、大正デモクラシーの時代に柳宗悦や武 者小路実篤らの影響を強く受け、自己を生かす教育・手仕事の大切さ・美と真の暮らし・平和への願いなどを一貫して説き続けた人でした。

 

 ここ多津衛民芸館は、小林多津衛が教職のかたわら八十余年にわたって蒐集した陶磁器・布などのコレクションや書籍を紹介するため、大勢の賛同者の協力を得て建設されたものです。以来、小林多津衛が説いた平和と手仕事の大切さを、より多くの人々に伝えたいという願いで運営を続けています。

 

・民芸館の願い

 

・小林多津衛について

多津衛民芸館の理念

「平和と手仕事」


「平和と手仕事」とは、小林多津衛が生涯を通して実践し、当館が掲げる理念となっている言葉です。

 若き日、多津衛は白樺教師として「自己を生かす」「人類的な平和」「美を暮らしに生かす」教育に取り組んできました。しかし、やがて日本が戦争への道に突き進む中で、国に対して声を挙げることをためらうようになります。当時は言論の自由はなく、声を挙げた白樺教師の仲間も逮捕され職を奪われ、殺される者もいた世の中。その中で多津衛は教師を続けたいという気持ちにこだわったのか、相手が誰であろうと「争う」ことに戸惑いがあったのか・・・この時の心の葛藤は、今の私たちには想像できないほど苦しいものであったと思われます。

 戦後、多津衛は教育者として再び白樺教育の理念を佐久の地で実践していきます。中でも80代になって提唱した「赤十字国家論」は、多津衛の活動の集大成ともいえるものです。医療によって世界の親和力を維持することを説き、軍備の増強ではなく人の命を尊び、他人を生かす道、それは「憲法9条」を持ち、技術力の高い日本ならば実現が可能だと発信を続けました。

 そして「手仕事」の実践。多津衛自身も陶芸や染めなど自ら手仕事に携わり、もの作りを通して人と人の心が通い“労働することの喜び”が生まれていくことを伝えました。このことは、大量生産・廃棄が続けられる現代の社会にこそ必要なことであり、世界が深刻な気候危機・環境問題を抱えている中で、この「手仕事」の実践は未来へと繋ぐカギとなることでしょう。

 

多津衛民芸館では、「人が嬉しい時に自分も嬉しい」という愛と奉仕の精神=手仕事や労働の契機といえる心を、当館で皆が共に育んでいくことを理念としています。また、人々の手仕事は、その土地の「文化」です。「平和への基礎は隣国の文化への尊敬の心から」という思想を大切にし、「地球人」として文化を愛し平和の輪を広げていくことが目標であり願いです。

 

 

民藝館に関わる人々